6月1日から7日までスイスのバーゼルに行っておりました。このことはまた後日書くとして、今日は本のお話です。3月に"Au revoir là-haut"(天国でまた会おう)を読み終えたのち、訳書を購入して、今度はよくわからなかったところをじっくりと読み返しています。これが意外に時間がかかり、まだ半分ほど。でも、旅に持参するには重すぎる。(ペーパーバックになる前のを買っちゃったので。)
それで、行きの飛行機の中で読むためには ↓こちらの記事の最後に挙げた"Chanson Douce"を持って行きました。Patricia のビデオーHome Langue - 愛と平和とフランス語
家にいるとどうしても辞書を引いちゃうので、旅先ならそうも行くまいと思い、読みやすそうなものを選びましたが、正解でした。グイグイ読める。内容に惹きつけられます。最初の場面がいきなり"Le bébé est mort. Il a suffi de quelques secondes. Le médecin a assuré qu'il n'avait pas souffert"(赤ちゃんは死んだ。数秒のことだ。苦しまなかっただろうと医者は言った。)そこから、ベビーシッターのルイーズがミリアムとポール夫妻に雇われる面に戻り、最初は彼女の完璧なシッターぶりに2人はとても喜ぶのです。しかし、徐々に、どうもしっくりしない雰囲気が出て来て・・・。
旅先の1週間では読み終わらず、後半分弱残っています。それなのに、また新たに買って来てしまった。旅行先では絵葉書を買うのが私の定番なのですが、最近は、それに加えて本屋さんに行くのが楽しみで・・・。
最初に入った小さな本屋さん、バーゼルはドイツ語圏なのでフランス語の本はほんの少しでしたが、しばらく見ていると、左上のGreta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)さんの小冊子が目に入りました。彼女は16歳の時に、環境汚染対策を取らない政治家に抗議すべく、欧州議会前に座り込みをはじめました。たった1人で始めた行動が、今では世界の若者に広がりつつあります。その彼女のスピーチをまとめたものです。
次に行った本屋さんでは右上の"La tresse" (三つ編み)を。これはちょうど出発する日の朝日新聞の書評に出ていたので、思い出したのです、Patriciaが紹介していて、気になっていた本だったことを。
最後の二冊は空港の待ち時間に買いました。"Confidences à Allah"(アッラーへの打ち明け話)全く知らない本でしたが、なんとなく面白そうだったので。アラブ社会にも興味があるし。最初の出だしは、こんなです。"Tafafilt c'est la mort et pourtant j'y suis née. Je m'appelle Jbara. Il paraît que je suis très belle mais que je ne le sait pas." (タファリットは最悪。だけど私はそこで生まれた。名前はジュバラ。私はすごい美人らしいんだけど、自分ではわからない。)まだ読んでないので、タファリットが何を意味するかわからないので、訳しにくいのですが、女の子の語り口調で始まります。
下右側は英語の本です。カリール・ギブランというレバノン生まれの詩人が書いた「予言者」という詩集。日本では佐久間彪氏の訳本が有名ですが、私は霜田静志氏の訳で「あなたの子どもは」という詩を読んで心惹かれました。英語版でこんな素敵な本が手に入って幸せです!最後に日本語詩を載せておきます。
【あなたの子どもは】
あなたの子どもはあなたの子どもではない。
子どもは「生命」の渇望からの子どもである。
子どもはあなたを通って来る。
しかしあなたからではない。
子どもはあなたと共にある。
しかし子どもはあなたのものではない。
あなたは子どもに愛を与えることができる。
しかし考えを与えることはできない。
子どもは自分の考えを持っているのだから。
あなたは子どもの体を動かしてやれる。
しかし子どもの心は動かせない。
子どもは明日の家に生きている。
あなたはそれを訪ねることも、夢見ることもできない。
あなたは子どもを好くようになれるであろう。
けれども子どもがあなたをすくようにならせようとは死なさるな。
人生は後に退き昨日にとどまるものではないのだから。
あなたは弓である。
そしてあなたの子どもらは
生きたやとしてあなたの手から放たれる。
弓ひくあなたの手にこそ喜びあれと。