愛と平和とフランス語

ほとんど自分のためのフランス語学習記録&ときどき時事問題

映画:パリの調香師

昨日見た「パリの調香師」良い映画でした。

 

かつてカリスマ調香師として活躍していたアンヌ。数年前ストレスから嗅覚をなくし高級ブランド香水から身を引き、嗅覚が戻った今はなめし革の匂い消しや、匂いの分析など地味な仕事に甘んじてはいるのですが、また香水を作りたいという熱い気持ちを持ち続けています。

そんなアンヌが仕事で遠出をする時に運転手として出向いてきたのがギヨーム。彼は離婚調停中で、娘の分散親権を得るために広いアパートメントに引っ越すべく、仕事に励みます。お調子者で人とのコミュニケーションに長けているギヨームは、無愛想で人付き合いが苦手なアンヌにはっきりモノを言うのですが、アンヌにとってはそれが逆に新鮮で、次第に心を開いていきます。しかも彼は鋭い嗅覚を持っていて・・・。

 

私も人付き合いが苦手で、一人で映画見るて喫茶店で本読むか家でフランス語勉強してるのが最高に幸せ。こんな私でも、「人間っていいな〜あったかいな〜」と思ってしまう映画です。

 

 

私の見る映画は、基本的に定期購読している

雑誌『ふらんす』 - 白水社

のなかの「映画シナリオ」で紹介されているものを見るようにしています。で、今回取り上げられていたシーンはレストランでアンヌとギヨームが食事をするところ。

 

ウエイトレスが去った後、ギヨームが「この香りはオー・ブルーだ」と言います。アンヌは「安っぽい柑橘系に凡庸な刺激を加味した香り・・・面白みのない香水の典型ね」と。

それに対しギヨームは Ma femme portait Eau Bleu. 元妻がこの香水をつけていた。

半過去がここで生きてくるんですね。別れた奥さん?亡くなった奥さん?いずれにしれも何も説明がなく、この一文だとそうなるわけですね。当たり前に使ってしまう半過去ですが、注目してみると味わい深いものです。

 

さて、アンヌの役をしたエマニュエル・ドヴォス、以前も見たなあ、と思ってたら、思い出した。数年前に見た、「もうひとりの息子」の母親役でした。イスラエルパレスチナの二家族が18年前、混乱の中での出産で息子を取り違えられてしまい、成長した息子の兵役検査でそのことが判明します。この年まで大切に育ててきた息子が敵対する国子どもだったとは・・・。苦悩と愛の表情が素晴らしく表現されていました。美人、という枠にははまらない、魅力的な俳優だと思います。

 

www.youtube.com