愛と平和とフランス語

ほとんど自分のためのフランス語学習記録&ときどき時事問題

今年の読書

今年に入って読んだのは、Pierre Lemaitre の "Au revoir là-haut" 『天国でまた会おう』。確か3回目です。ちょうど翻訳講座を取ってた時だったので、訳本と見比べながらじっくりと。2月の初めごろまでかかりました。

 

 

お正月明けのレッスンの時、先生は冬休みの間、"Suite Française"『フランス組曲』を読んだということで、とても良かったとおっしゃっていたので、気になって調べてみました。

 

 

そしたら、すごい本だということがわかりました。

 

 

というのは、作者のイレーヌ・ネミロフスキーはアウシュビッツで亡くなっているのですが、その直前まで書き溜めた原稿が娘に託され、それが日の目をみたのが60年後の2000年を過ぎた頃だったのです。

 

もう少し詳しいことは、私のFaceBookに書いてあります。3月11日の投稿です。

https://www.facebook.com/profile.php?id=100009516738365

 

FaceBookをしてない方は、とりあえず、こちらのサイトにこの本の解説が載っていますのでご参照ください。

 

イレーヌ・ネミロフスキー「フランス組曲」書評 戦時下の人間描く一大絵巻|好書好日

 

 

それで私も読んでみよう、と取り寄せました。

 

 

しかし、安さに釣られて買ったのは日本Kindle版をそのまま印刷したタイプで、以前、Au Bohneur des Damesでも失敗している、とても読みにくいものでした。

 

1行が長〜く、著者の解説も何もない。

 

 

それでも内容は、ロシアの戦争が始まった今、突然日常が奪われ避難する人々の現実と重なり、胸を打たれます。

 

 

いつも苦しむのは普通の人々。

 

Mais pourquoi la souffrance est-elle toujours pour nous ? et pour des gens comme nous ? Pour les gens ordinaires ? pour les petits-bourgeois. Que la guerre arrvie, que le franc baisse, qu'il y ait chômage ou crise ou révolution, les autres s'en tirent. Nous somme toujours écrasés ! Pourquoi ?

 

でも、どうしていつも苦しむのは私たちなの?普通の人たち、ただの市民が苦しむことになるの? 戦争が始まるとフランは下がるし失業、不景気、混乱が起こる、だけでそれをうまく切り抜ける人だっている。私たちはいつもやられっぱなし。なぜなの?

 

 

ドイツ人兵士もただの駒ですから、上からの指令に従うしかない。

 

Madame, je suis soldat. Les soldats ne pensent pas. On me dit d'aller là, j'y vais. De me battre, je me bats. De me faire tuer, je meurs. L'exercice de la pensée rendrait la bataille plus difficile, et la mort plus terrible.

 

奥さん、私は兵士です。軍人は考えません。あそこへ行け、と言われればそこに行くだけです。戦え、と言われれば戦います。殺されろと言われれば、私は死ぬだけです。自分で考えようすれば、戦いは難しくなります。死が余計怖くなるのですから。

 

 

どうして人類は、いつまでも同じことを繰り返してしまうのでしょう。

 

 

これは夫にも勧めたい本だと思って、日本語版も取り寄せました。

 

二部構成になっていて、私は二部の16章まで読んだところで、あともう少しで読了だったのですが、平岡敦氏の綺麗な日本語に魅了され、そこから先は訳本の方を読んでしまいました。ちょっと情けない・・・。

 

 

でも、早く読みたかったBilal Hassaniのママが書いた本も届いてしまったので、やむを得ません。(言い訳)

 

大好き!Bilal Hassaniのママ - 愛と平和とフランス語

 

 

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こちらは読みやすい、面白い、しかも冒頭、私の好きなカリール・ギブランの「あなたの子どもは」の詩が載っている!

 

 

欧明社も無くなったし、新刊なので、日本アマゾンにはまだ出てなかったし、でもフランスアマゾンで買うと送料が本代と同じくらいかかるし、どうしたもんかと悩んでいたら、Twitterで「新宿紀伊国屋書店で取り寄せ注文できますよ」と教えてもらい、手に入れることができました。

 

 

ふと、振り返ってみると、こんなにフランス語で楽しく読書ができるなんて、やっぱり少しづつでも力がついてるのかな・・。

 

 

最後に、「あなたの子どもは」Aminaの本に載っていた部分を紹介しておきます。

 

訳はちょっと古めかしい雰囲気ですが、霜田静志訳で全文を。私は大好きです、この訳。

 

[Vos enfants, bien qu'ils soient avec vous,]

ils ne vous appartiennent pas.

 

Vous pouvez leur donner votre amoour

mais non point vos pensées,

car ils ont leurs propres pensées.

 

Vous pouvez accueillir leurs corps

mais pas leurs âmes,

car leurs âmes hbitent la maison de demain,

que vous ne pouvez visiter,

pas même dans vos rêves.

 

Vous pouvez vous efforcer d'être comme eux,

mais ne tentez pas de les faire comme vous.

 

Car la vie ne va pas en arrière,

ni ne s'attarde avec hier.

 

Vous êtes les arcs par qui vos enfants,

comme des flèches vivantes, sont projeté. [...]

 

                               Le Prophète, Khalil Gibran

 

 

あなたの子どもは

 

あなたの子どもはあなたの子どもではない。

子どもは「生命」の渇望からの子どもである。

子どもはあなたを通って来る。

しかしあなたからではない。

子どもはあなたと共にある。

しかし子どもはあなたのものではない。

 

あなたは子どもに愛を与えることができる。

しかし考えを与えることはできない。

子どもは自分の考えを持っているのだから。

あなたは子どもの体を動かしてやれる。

しかし子どもの心は動かせない。

 

子どもは明日の家に生きている。

あなたはそれを訪ねることも、夢みることもできない。

あなたは子どもを好くようになれるであろう。

けれども子どもがあなたを好くようにならせようとはしなさるな。

人生は後に退き昨日にとどまるものではないのだから。

 

あなたは弓である。

そしてあなたの子どもらは

生きた矢としてあなたの手から放たれる。

 

弓ひくあなたの手にこそ喜びあれと。