愛と平和とフランス語

還暦でDALF C2・35歳から趣味で始めたフランス語が私のエネルギー源。        学習記録&本・映画・社会問題のあれこれを綴っています。

ポンヌフの洞窟ープラトンの「洞窟の比喩」

今、パリのポンヌフは洞窟に様変わりしつつあります。

 

こんな感じ↓ こちら、1分くらいのビデオなので、まずご覧ください。

 

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しょっちゅうインスタに上がってくるので、何かな、と思って調べてみたら、巨大サイズの写真や絵を用いたインスタレーションで有名なアーティスト、JRが、ポンヌフに洞窟を模した作品を設置しているということでした。

 

 

こちらのビデオは13分。ちょっと長いですが、彼の作品の概要、意図、これまでの作品、想いなどがよくわかります。簡単に解説しますね。

 

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冒頭:作品概要。長さ120メートル、高さ18メートル。中から空気を入れて膨らませるので、雨の日は避けての作業。これから中の作業をする。

6月6日から28日まで、無料で24時間中を通れるようになる。(歩行者のみ)薄暗い中で、「感じてもらう」。

 

3:45〜:Allégorie de la caverne (洞窟の比喩)の説明。プラトン哲学。

生まれた時から洞窟の中で身動きできない状態に置かれた者たち。彼らが魅せられているのは、影絵のみ。彼らにとってはそれが真実の世界。

その中から一人だけ外に出され、世界を見た。また洞窟に戻って、自分が見た外界で繰り広げられている「真実」を中のものに説明するが、決して信じてもらえない。(最後は殺されてしまう。)

 

 

学校で習ったこの話がJRはとても記憶に残っていたと話します。

 

 

Cette allégorie, elle est très intéressante aujourd’hui, parce que nos téléphones, c’est nos caverne aujourd’hui. On est tous dans nos algorithmes, comme ça, en pensant “moi, j’ai la réalité, toi, non, c’est pas la réalité. Tu devrais regarder la mienne", mais toi, tu ne vas pas regarder la mienne, parce que tu penses avoir ta réalité.

 

この比喩は、今の時代にとても興味深い。なぜなら、スマホこそが私たちにとっての洞窟だからです。皆、アルゴリズムの中で生きていて、こんなふうに考えるんです。

「本当のことを知っているのは俺だ、君のは違う。君は俺が見てる真実を見るべきだ。」と。しかし相手はこっちの「真実」を見ようとしない。自分こそが真実を知っていると思っているから。

 

 

Et, à un moment, de repartir aux sources, de retourner à la caverne, c’est-à-dire de revenir à nos origines.

 

だから今、原点に帰る、洞窟へ戻る、つまり自分たちの期限へ立ち返る時なのです。

 

 

On est tous des citadins ici, j’imagine, mais quelque part, la caverne on l’a tous en nous parce qu’on sait qu’on vient de là, on sait que c’est les premières traces humaines, les premières traces d’animaux.

 

ここにいる私たちは皆、たぶん都市生活者でしょう、ですが、皆、自分の内に、洞窟を持っている。なぜなら私たちは、自分がそこから来たことを知っているからです。そこには人類最初の痕跡があり、最初の動物の痕跡があるのです。

 

 

5:00〜:1985年クリストとジャンヌ・クロード夫妻がポンヌフに施したアートへのオマージュということで、彼らの映像、作品の紹介。

 

7:00〜:JRの過去の作品

 

8:20〜:クリストとジャンヌから受けた影響の一つととして、資金調達に関して。当時JRはどうすれば良いかわからなかったが、彼らが、auto-finanncer が可能だと言っていたので、それを聞いて、とても勇気が出た。

今もスポンサー(つまり、作品に広告をつける必要が生じる)はつけないが、やっていける。

また、彼らの作品の規模と費やした年月の破格な規模。着手するまでに何十年もかかったとしても、構想はすでに頭の中で生きていることを、彼らから学んだ。

 

11:00〜:司会者が、何度かこのポンヌフの作品の費用を尋ねたが、JRは直接的には回答せず。布と空気と手仕事だけだし・・・と。

しかし800人もの人々の手がかかっている。例えば作品を制作、保管するのに、オルリー空港の倉庫を使わせてもらった。

アメリカのブルームバーグ財団の援助を受けた、と答えるにとどまった。

 

 

 

私は、このプラトンの「洞窟の比喩」の話を、2024年、最初にフランス語コンクールに挑戦したときに、当時習っていたJG先生から聞きました。

 

その時のテーマがコミュニケーションについてで、全然考えがまとまらなくて苦労している時、アイデアの一つとして先生が挙げてくださったものでした。

 

スピーチ自体は結局いいものが書けず、その年は決勝大会に進むこともできなかったのですが、このプラトンの話が心に残っていて、その時もネットで調べて記事読んだりしました。

 

 

その時は、直接的な影響(コンクールに関して)がなかったとしても、結局学んだことは繋がっていくものだなあ、と感慨深い想いです。だって、この作品を、6月のパリで体験することができるのですから。

 

 

アーティストJRに関しては、何年か前に、アニエス・ヴァルダとの映画、これ自体は見なかったのですが、予告編で興味を惹かれていました。

 

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「ポンヌフの洞窟」に関しては、批判の声もあるようです。

 

私がざっと動画のコメント欄などで見かけたものでは

・美しくない

・プラスティックを使ってて環境に良くない

・貧しい人にその分のお金を回すべきだ

 

 

最初にこの意見を見た時、プラスティック云々のところだけは賛同しそうになったのですが、でも、そんなこと言い出せば、私たち、日々の生活でどれだけプラスティック使ってる?

 

何もできなくならない?

 

環境のために、人間は死ぬしかなくない?

 

 

こういう議論を巻き起こすことも、アートの作用の一つであり、自分の目から見た「現実」だけが「真実」なのか、そういうことを考える貴重な機会なのではないかと思います。

 

 

私は私で、自分の目で見て、体験してこよう。