来年1月5日まで長崎美術館でクリスチャン・ボルタンスキー展〈LifeTime〉が開かれています。私はアートに特別関心があるわけではなく、またボルタンスキーは新聞か雑誌でちょこっと見たことがあるくらいの記憶でしたが、今回、新聞に載っていた不思議な写真(荒野に置かれた無数の風鈴)を目にした時、内なる声が「行くべし!」と私の背中を押しました。なんなのこれ?と強く強く惹かれてしまったのです。運良く土日続けてお休みの週末があったので、一人長崎へ、一泊で行ってきました。
というわけで今日のブログはフランス関係はボルタンスキーだけですが、その他の写真とともに長崎の旅をご紹介します。
ボルタンスキー展は夜間もやっているということだったので、まずグラバー邸や大浦天主堂など、長崎観光の王道を押さえる予定でしたが、そのすぐ近くに祈りの丘絵本美術館というのがあることを知り、入ってみました。おとぎ話に出てくるような素敵な入り口です。
一階はたくさんの絵本が売っていて、2階は長崎にゆかりのある画家の企画展示、3階は60歳で絵を描き始めたという大道あや氏の常設展となっています。どちらもとても良い絵だったのです。これまでに生きた人、今生きている人、すべての人に人生の物語があるんだなあ、と感じさせてくれる絵画たちでした。長崎に行かれる予定のある方、ぜひお立ち寄りください。
次はグラバー邸。天気が良かったので外を歩くのも気持ちが良いし、邸内にあるレストラン「自由亭」のビーフシチューも美味しかったです。
このあと大浦天主堂へ行き、ホテルで休憩した後ボルタンスキー展へ。そのことは最後に書きます。
翌朝ホテルを出て、少し歩くとちょっと気になる看板が。本のセレクトショップでした。こういうとき、時間に追われていないひとり旅は気楽です。フラッと入ってみました。
中には明るくて、決して広くはない店内に、私が新聞の書評などをみて読みたいなあ、と思っていた本がことごとく置いてある!
本を買ったらコーヒーサービスの日だったようで、ひきたてのコーヒーをいただきました。店主さんともいろいろおしゃべりして楽しいひととき。
結局また本をたくさん買ってしまった。
右側の日めくり二つと大道あやさんの本は絵本美術館で。左側のカメル・ダウードの本はホテルで読もうと思ってうちから持って行ったのですが、結局こんなに買ってしまったので、ちっとも読めませんでした。
原爆資料館には入りませんでしたが、平和記念公園とその先にある片足鳥居を見てきました。
原爆で周囲の建物が倒壊する中、奇跡的にこの状態で残った鳥居です。
さて、今回のメインイベントであるボルタンスキー回顧展。クリスチャン・ボルタンスキーは1944年、ナチス占領下のパリに生まれました。父親は改宗ユダヤ人であったため家の床下に隠れ住んでいたそうです。そのような経験はボルタンスキーの作品に大きな影響を及ぼしました。
今回の長崎美術館では、心臓の鼓動が聞こえたり、無数の死と人生を連想させる作品を見る、というより、その真っ只中に佇む感じでした。
こちらの映像は2016年の展示の際のインタビューですが、「芸術家というのは、作品を見た人に刺激を与え、観た人が今度は芸術家となって作品を完成させるのです。」と語っています。そのことが実感として感じられました。日本には何年かに一度来ているようですね。まだの方はぜひ次の機会に、もしくは1月5日までに長崎美術館へぜひ!