もう2年近く前のことになります。たまたまYouTubeで "Ce que le jour doit à la nuit"という映画がフルで公開されていました。当時、フランスとアルジェリアの関係に興味があったので、見てみたら、フランス語だけなのに、引き込まれてしまいました。
でも、日本語字幕も音声もないので、大雑把にしかわからなかったのです。それで原書を購入しました。その辺りの経緯はこちらに書いています。
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半分くらいまで読んだけど、やっぱりわからないところが結構ある。特に知りたい心理描写や時代背景が難しく、その後、翻訳本も購入しました。そうすると、人間、易きに流れてしまうので、つい、翻訳の方を読みたくなっちゃうんですよね。それは悔しい!
で、先日、DVDを購入しました。今、やたら高いけど、その時は3000円くらいで買えたのです。
これは良かった。もちろん日本語はどこにもないのですが、耳の不自由な方のために、ということで、フランス語字幕がついているのです。なので、聞き取れないところは何度も止めて、文字で確認。かなり理解が進みました。
そして、また本に戻ってみると、読める!わかる!!それでもスッキリしない時は、翻訳本の助けも借りていますが、「原書で読んでる」という実感があります。本の世界に入り込めるんです。
フランス語で読める幸せをしみじみ感じております。
今後、フランス映画のDVDを買う時は、フランス語字幕がついているものを選ぼうと思います。
ちなみに日本語題は『昼が夜に負うもの』ヤスミナ・カドラの作品です。本名はムハマド・ムルセフール。アルジェリア軍の将校時代に軍の検閲を逃れるために女性名で執筆活動を始め、国際的にも高い評価を得ますが、2001年に自伝を発表し、フランスに亡命するまではその正体が無名だったそうです。
この作品では、アラブ人のユネスは小麦農家の父の不運により、アルジェリアのフランス人社会で生きる叔父さんの元へ託され、受け入れやすいようにジョナスとして生きることになります。
しかし、学校ではアラブ人差別があり、また友人の家では奴隷のようにこき使われるアラブ人がいて、いつも身の置き所のない気持ちに襲われます。愛する女性のことも、ある事情から心を開いて受け入れることができず、そのうち、アルジェリア独立戦争が始まり・・・。
フランス語と関係なく、文学として素晴らしい作品だと思います。