フランス語学習者なら誰もが知っている欧明社。入り口のフランス国旗とグリーンのドア。やっと原書が読めるようになってきたここ数年、上京の際には必ず立ち寄っていました。
それが、この2月で完全閉店とは・・・。
ちょうど先日東京で用事があったので、最後の欧明社だな、と思いながら行ってきました。
いつもは買うと決めてる本をいくつかピックアップして、タイトルをメモっておくのですが、今回はそれをせず、じっくり背表紙を見ながら自分の感覚に従って選びました。
そうして買ったのがこれらです。
珍しく、小説は タハール・ベン・ジェルーンの一冊だけ。
昨年秋に数冊 Romanを買ったばかりでしたし、ちょっと評論文的なものにも挑戦してみようかな、と思いました。
そしてこちらは欧明社に来なければ買うこともなかったでしょう、子ども向け(小学5年生くらい?)の綴り学習のための本。
これがなかなか素晴らしいんです。
中で使われている例文なんかも、ちょっとウイットにとんでて、ページめくるのも楽しいです。
そして、今回一番の掘り出し物は、シャルル・アズナブールの歌詞集。400曲くらい納められています。
気になる歌があれば、YouTubeで曲も聴ける!
最後の欧明社でのお買い物、良いものが選べたけれど、寂しくてしみじみしてしまいます。
そういえば、岩波ホールも閉館になってしまうのですよね。学生時代、ジェラール・ドバリュデュー演じるダントンをこの映画館で見ました。もしずっと東京に住んでたら、結構通ったかなあ・・・。
西村カリンさんが、この二つの店じまいについてリベラシオンに記事を書いてくださっています。
岩波ホール支配人の高野さんは
L'Etat japonais n'a pas de politique s'pécifique pour soutenir ce secteur.
「日本はこの分野への支援策がない」と嘆いておられます。
欧明社の奥山さんは「政府の支援はあったが、コロナの影響以外にも、円安、フランス語人口の減少の影響で」と言っておられますが、それでも政府が文化を守ろという姿勢があれば、状況は違ったのではないかと思います。
フランスではAmazonやFnacなどに小規模書店が負けないような支援策があります。最低価格の取り決めとか、送料無料は禁止とか。
円安だって、トヨタをはじめとする輸出企業を守るためではないかという気すらします。
コロナが過ぎた後、日本はどうなるのだろうと、本当に心配になります。
これまで買った本をじっくり読んで幸せに浸り、考えただけで不愉快になる日本政府のことは、なるべく考えないようにしたいと思います!