愛と平和とフランス語

ほとんど自分のためのフランス語学習記録&ときどき時事問題

映画:私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?

映画館で予告編を見て気になって検索してみたら、2012年に実際に起こった恐ろしい事件を映画化したものでした。

 

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フランス原子力会社のアレバで労働組合の長を務めるモーリーン・カーニーは、会社がEDF(フランス電力会社)とCGNPC(中国原子力企業)の間で技術移転を伴う機密の契約を交わそうとしていることを知ります。

 

その契約に伴い、大量の解雇者が出ることから、カーニーは反対の声を上げるのですが、ある朝、何者かに襲われ、椅子に縛り付けられているところを昼に出勤してきたお手伝いさんに見つけられます。

 

 

リベラシオンの記事に詳しく書かれていました。(リベだけ購読しています)

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パソコンの画面で読むのが疲れるので、以前は気になった記事は、すぐ印刷していたのですが、プリントアウトするとそれで満足してしまって、最後まで読まないことが多々あり、書き写すことにしました。

 

 

 

自分の字が汚すぎて嫌なのですが、それを克服すべく、筆記体の練習もかねて。

長い記事だったので、6ページに渡りました。やっぱり字、下手だな・・・。

 

 

 

Interrogée par les enquêteurs, Maureen Kearney, âgée de 57 ans à l’époque, affirme avoir été agressée, indique que les faits sont liés à son activité syndicale et décrit un climat très tendu avec la direction d’Areva. Elle est en effet farouchement opposée à la signature d’un accord confidentiel (qui a eu lieu le 19 octobre 2012) entre Areva, EDF et l’opérateur chinois d’énergie nucléaire CGNPC, qu’elle estime dangereux pour les emplois sur le territoire français. Elle assure avoir reçu des menaces en amont et précise que son agresseur, lors des faits, lui aurait dit : «Il n’y aura pas de troisième avertissement.»

 

「事件当時57歳のモーリーン・カーニーは捜査官の質問に、こう答えていました。

”襲われたのは事実です。この事件は組合活動と関係があります。アレバの経営陣とは緊張関係にありましたから。”

 

彼女はアレバとEDF中国企業CGNPCの間での機密合意に反対していました。それはフランスで働く従業員の解雇につながると知ったからです。以降、脅しを受けるようになり、事件の時は”三度目があると思うなよ”と言われたということです。」

 

 

こちらはモーリーン・カーニー本人が話しています。元々はアイルランド出身で、英語の教師としてアレバに入ったので、英語訛りのフランス語です。

 

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酷い目にあったと言うのに、「証拠がない」と言うことで、逆に彼女が事件をでっち上げた(dénonciation mensongère)と言うことで訴えられてしまうのです。

 

散々責め立てられ、眠れない、食事もできない、そして、事件の時の脅し文句が彼女を苦しめます。次のターゲットは娘か孫になるのではないかと。

 

そして、彼女は「でっち上げました」と言ってしまうのです。その後は戦う姿勢を取り戻すのですが、何度も死のうと思ったそうです。

 

 

現在彼女はパートナーの暴力で心身ともに傷ついた女性を支援する団体で活動をしています。

そこに来る女性たちには、まず

 

Je vous crois. (あなたを信じるわ。)

 

と伝えるそうです。

 

「あきらめないこと、どんなに苦しい道のりでも、挫けそうになっても、また立ち上がるの。私たちがついています。」

 

と、男性社会での暴力に打ちのめされた女性たちへ語りかけます。

 

苦しみを乗り越えた者が持つ、深い優しさを感じます。

 

 

こちらは、映画の元となった本 La syndicalisteを書いたL'Obsの記者Caroline Michel-Aguirreの話です。この本、現在レシャピートルさんに注文中。届くのが楽しみ!

 

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結局2017年にdénonciation imaginaireの罪で有罪となったものの、その後弁護団を替え、2018年にこの罪状での無罪を勝ち取りますが、犯人はわからないまま。

 

しかし、新たな弁護団によると、当時、DNA採取はしたものの、それが適正に分析されていなかったことがわかったそうです。闇、深すぎですね。

 

語句

une séquestration : 監禁、幽閉

infirmer : ・・・を無効にする、(判決)を破棄する

faire appel de cette décision : この決定を不服として上訴する

un pourvoi : 上訴、上告

la cour d'appel : 控訴院

un prévenu : 刑事被告人

un arrêt : 上級審の判決

désister : 取り下げる

une officine : (陰謀などの)計画場所、本拠

calquer : 模倣する

de prime abord : 一見したところ