23日までの4日間、東京に行っておりました。
家族の用事ではあったのですが、滞在中に知ったヴァロットン展に行ってきました。
たまたまTwitterに入ってきたインフォメーションで、知らない名前でしたが、宣伝ポスターに見られるようにほとんど黒と白だけの版画、すごく興味を惹かれました。
行って大正解。
白黒、シンブルな絵なのに(だからこそ?)、人物が動きそうな感じ。
写真OKの部屋があって、そこに展示されていた一枚がこちら。
百貨店で商品(布地)を手に取り品定めするご婦人がた。
説明書きを拡大していただくと見えると思いますが、私がこれまで何度か書いたゾラのAu Bonheur Des Damesに言及されています。
そうそう、こんな感じでデパートのあれやこれやの品物に夢中になる女性たちが描かれていました。
そしてこちらは雑誌の表紙。
カフェで新聞を読む客たちですが、一番手前の新聞はオーロール、その一面を飾るのはゾラの書いたドレフュス事件の記事、J'accuse。ドレフュスの無罪を主張し、陸軍の証拠でっち上げを糾弾した記事です。
私は、芸術と社会問題は切り離せないと思っているので、こういう世相反映の作品、好きです。特にゾラ関連ですし。
そういえば、先日ノーベル文学賞をとったアニー・エルノーはフランスの階級社会を作品の中で描くことでも知られているようですが、そのような作家が世界的な賞をとったことは、フランスの恥を世界に晒すことになると批判の声も上がったそうです。
全く筋違いの批判だと思いますが、自国の良いところしか見たくない、偏った「愛国者」がどこの国にもいますわね。
話をヴァロットン展に戻します。
日本の浮世絵は19世紀フランスの画家たちに強い影響を与えたと言われていますが、(過去ブログでモネの部屋の浮世絵写真あり)
このヴァロットン展では、嬉しいことに北斎漫画が展示されていました。
ちょうど東京行きの数日前、劇団わらび座の公演を久しぶりに見に行ったのですが、演目は「北斎まんが」。
「北斎まんが」実際のものはどんなのだったんだろう・・・と思っていたら、ヴァロットン展で見られるとは!
フランス語の、特に話すことに関しての行き詰まりを感じている日々なのですが、何かを学ぶことは、それだけにとどまらず、枝葉を広げ、発見の喜びを与えてくれるものなのだと感じるヴァロットン展でした。
会場の三菱一号館は、洋館建築で大変雰囲気の良い中で作品と向き合うことができます。
来年1月29日までの開催、お見逃しなく!